「人に迷惑をかけない自殺はない」遺品整理業者を描いた漫画が考えさせられる〜遺品整理業者ヒューマンズ〜

遺品整理業者ヒューマンズ

 

いつも記事をご覧になって頂きありがとうございます。

本日は、私達と同じ遺品整理業者のストーリーを描いた漫画を紹介し、先日の「あるある」に続いて、業務についてイメージを持ってもらおうと思います。遺品整理業者の漫画と聞いて、「?」となる方が多いと思いますが、既に13巻も出ており、弊社の従業員も読んでいます。ストーリーは、派遣OLの1人の女性が自身の体験がきっかけで遺品整理業者に就職することを決心し、仕事を通して、人の命との向き合い方を考えていくといったものです。

この漫画を読んで、「遺品整理業者」のあるべき姿について思いを馳せることが良くあります。私は遺品整理業という職業に出会ってから、命との向き合い方が変わりました。遺品整理業をしていなくても、この漫画を読むことで、みなさんにもそのきっかけが生まれるかもしれません。

ストーリー

主人公は派遣OLの森内。
物語は喫茶店で一人の男と出会うところから始まる。
自分と同じぐらいの年代に見えるその男は遺品整理業者だった。
母親の遠縁の男が孤独死して、その事後処理をすることになったのだ。

森内は、生まれてこの方「ラッキー」とはずっと縁がなく、今までの人生「アンラッキー」な出来事ばかりに見舞われてきた、と感じている。
今回も、会ったこともない人間の身元を確認したり、業者にお金を払ったり、アンラッキーな出来事で、「いつもなんで私ばかり」と思うのだった。
そんな不満げな様子に気を留めることなく、業者の男は淡々と遺品整理の説明を済ませる。説明が終わり部屋の前に来ても、中に入る気になれず外で待つことにした。

業者の男は、森内に気にすること無く部屋に入り、中の状態を確認する。
誰かの死の後始末は警察がやってくれるものだと思っていた。

遠い親戚とはいえ、他人とはいえない人の死に直面している森内自身も、自殺を考えている一人だった。職場のイジメ、人間関係のストレス、失恋、孤独、借金、自殺の引き金はいくらでもある。何より両親を早くに亡くした森内は、死んでも悲しむ人はこの世にひとりもいない、と思っていた。だからか、森内は、自分の死後の後始末はどのように行われるのか、他人事ではないと様子が気になりやはり部屋に入ることに。

ウジが発生し、発見が早かったとはいえやはりにおう。
発見が遅かったり、ゴミ屋敷だったり、夏場は特に悲惨な現場になるという。

人に迷惑がかからないように、事前に業者に依頼したり自殺するなら、冬のうちがいいだろうと話す森内を見透かしたように男は答える。
「人に迷惑のかからない自殺なんてあり得ませんから・・・」
冗談だと濁す森内の目に飛び込んできたのは、人型がくっきりと残った布団だった。
怯える森内を他所に、淡々と説明を続ける業者の男。

死後の現場は、ドラマや映画のように美しいものではない。
中にはご遺体の一部もあるという。
見積もりを確認し、改めて遺品整理作業をお願いすることに。

通常生活に戻り、職場に復帰する。休んでいたことで、職場の上司から嫌味を言われる。
そんな生活の中で人の死に直面したことで、森内の自殺への傾斜に拍車がかかる。

遺品整理作業当日、無事作業が終わり、ふと森内は、亡くなった親戚の遺品は全部ゴミになるのかと作業員に聞く。受け取り人がいない場合は、しっかりとご供養してから処分するとの話を聞き安心した。

その日の夜、森内はこう思った。
人は、誰もが、いつか死を迎えるときがくる。
その時を孤独に迎えるのか、家族に看取られるのか、自ら選んでしまうのか。
いずれにしても、その人が生きた命の足跡を誰かに消した貰う必要があることを忘れてはならない。

まとめ

如何でしたでしょうか。冒頭部分だけ紹介しましたが、
その後、森内は、今回の出来事をきっかけに、自殺を思い留め、遺品整理業者の会社に転職することになります。その会社の社長が、喫茶店で出会った遺品整理業者の男だったのです。このあと物語は、遺品整理業者として、いろいろな人の死に直面しながら、命との向き合い方を学びながら成長していく森内を描いていきます。

この物語で伝えたいことは、「人に迷惑をかけない自殺はない」という言葉に集約していると思います。私もこの仕事を行っていて、いろいろな現場を見てきました。一つとして、誰にも迷惑をかけていない現場などありませんでした。
それなら、自分の死後に迷惑をかける人に少しでも納得してもらう死に方をする必要あるのではないか。それがいろいろな人に支えてもらい、永らえてきた人の義務ではないかと考えるようになりました。

この漫画は、かなりリアルに遺品整理業を描いています。
最近は遺品整理業も認知度が上がってきましたが、この漫画で具体的な仕事内容、詳細な作業現場のイメージが掴めます。

今いろいろな悩みを抱えている人、遺品整理業の仕事に興味がある人、最近親戚に会っていない人など、様々な人が読んで、様々な思いを抱く漫画だと思います。
以上です。もし良かったら、他の記事を読んでみてください。

ゴミ屋敷清掃、遺品整理業者のあるある、実はこんな世界です。

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