いつから始める?遺品整理の開始時期について

いつから始める?遺品整理の開始時期について

大切な人を亡くした遺族が抱える問題に遺品整理があります。遺品整理は、いつから始めるものなのか、その段取りが分からず悩む方もいらっしゃるでしょう。今回は遺品整理の開始時期と遺品整理前に押さえておきたいポイントについて詳しくご紹介していきます。

遺品整理の開始はいつから?

遺品整理を始める時期に決まりはないので、いつから始めても構いません。ご遺族の気持ちに沿ってすすめていくのが一番です。しかし相続や形見分け、賃貸住宅の引き渡しなどを考慮すると期日を決めて遺品整理を始めざるを得ないことも。遺品整理を始める時期の目安を見ていきましょう。

1.葬儀終了後

かなりタイトなスケジュールではありますが、葬儀後は親族が全員揃っていることが多いので、遺品整理を行うのにはいいタイミングです。特に遺族の方が故人の住居近くに住んでいない場合や、遺族の方が遺品整理のために有給を取得できないといったケースには、視野に入れたい選択肢のひとつです。

2.月末、もしくは翌月末まで

故人が賃貸の住宅にお住まいだった場合は、後になればなるほど家賃がかさんでくるので、遺品整理はなるべく早めに行い、部屋の退去手続きをする必要があります。

賃貸契約は、月末締めがほとんどです。賃貸部屋の引き渡しは、遺品をすべて片付けてからでなければできませんので、賃貸の住宅を整理する方の多くは次の家賃が発生する前に整理作業を終わらせようと試みます。どうしても間に合わない場合は、もう1か月先の翌月末を目安にすることもあります。

3.手続きが終わったタイミング

遺族の方は、故人の葬儀や告別式が終わったあとも、役所関連、銀行口座、健康保険、年金、公共料金や携帯電話の解約など、想像以上に多くの手続きに追われ、しばらくはバタバタと忙しい日が続くでしょう。

銀行口座などは相続に関するため、相続人全員の承認を集めなければなりませんし、それぞれの手続きの多くには期限が決められているため、まずはこれらを全て終わらせることが先です。
遺品整理はそのあと、ひと段落してからで構いません。落ち着いた気持ちでゆっくりと向き合える環境が整ってから始めましょう。

4. 四十九日まで

故人が愛用していたものを親族や故人と親交があった友人と分け合う「形見分け」。この形見分けをスムーズに行いたいのであれば、四十九日を迎えるまでに遺品整理を終わらせることを目安にするといいでしょう。この段取りであれば、四十九日法要で親族が集まったときに形見分けができます。

5.四十九日の後

四十九日は故人の魂が仏のもとへ向かう日とされています。それまでの間は故人を偲ぶ期間なので、たとえ家賃が発生するとしても遺品整理は慎もうとお考えの遺族の方は多いです。
しかし四十九日を過ぎれば遺族も忌明けとなり日常生活に戻ります。節目であるこのタイミングは遺品整理には適した時期といえます。

6.法要に合わせる

法要もひとつの節目ですので、遺品整理を始めるのにいいタイミングといえるでしょう。先ほど四十九日について紹介しましたが、その後も百カ日、納骨式、一周忌・三周忌・七周忌など法要が続きます。

遺品整理は一部の遺族だけで進めてしまうと相続や形見分けのトラブルが後から発生することも考えられます。そのため、なるべく多くの遺族で整理作業を行うことが望ましいのです。

また人数が多い方が作業自体もはかどります。法要で集まった遺族全員で遺品整理を行うことができれば効率よくすすめることができますね。

7.悲しみが癒えたタイミング

遺族にとって、故人の思い出が残る大切な遺品を整理するのは辛いものです。悲しみが深いと普段のような判断力が伴わず、大切なものを誤って処分してしまうかもしれません。また、頭ではわかっていても気持ちが追い付かず作業がはかどらないことも考えられます。

遺品整理を急ぐ事情がないのであれば、月日が経ち、故人への想いが癒えてから整理を始めるのも選択肢のひとつですよ。時間の経過とともに故人の死を受け入れ、前を向いて進もうという気持ちになれば整理に踏み切りましょう。

生前に整理を行う場合

遺品整理をする場合、遺族は本人でさえ決められない物の行方を考えなければいけません。捨てるべきなのか、残さないといけないのか、故人はどう思っていたのか、当の本人でないと分からないことが遺族にとって大きな負担になります。

そうした遺族の負担を減らすために、最近では事前にご自身で身辺整理をするケースが増えています。
ご自身にとっても、誰かに所持品を処分されるより自分の物は自分で整理整頓した方が納得できるのではないでしょうか。

ここでは今注目される「生前整理」と「老前整理」についてそれぞれご説明しましょう。

1.生前整理

現在、終活の一環として「生前整理」を行う人が増えています。生前整理とは、みずから所持品を見直して本当に必要なものだけを残すやり方です。

特に、戸建ての持ち家に住んでいる場合、収納スペースがものでぎっしりというケースは珍しくありません。いずれ遺される子どもや孫がこれらの処分に困らないように自分で処分します。
整理整頓するのは体力的に無理だと思われる方は、エンディングノートにしたためておくのも有効です。

また、骨董や美術史品・古書・ホビーなどをコレクションしている人は、それらの価値を分かりやすいようにまとめておくといいです。そうすれば、余計なトラブルを防げます。もしコレクションを遺族以外に譲りたい人がいる場合は、その旨もきちんと記しておきましょう。

遺品整理の際、故人の指示があるとないとでは、その進み具合が大きく違ってきます。故人の一言があれば遺族は後ろめたい気持ちになることなく、遺品を整理することができるでしょう。

2.老前整理

さきほどご紹介した「生前整理」とは別に「老前整理」というものも最近は増えています。同じように感じますが、少し意味が異なります。

「生前整理」を始める時期は仕事をリタイアした後、いわゆる老後です。自分の死後に遺された家族が困らないよう、財産や遺品の整理を行っておくこと。相続トラブルを回避する意味があります。

一方「老前整理」は、ご本人が元気なうちに不用品を処分し、自らの老後のため快適で、安全な生活空間を手に入れることです。体力と気力、そして判断力があるうちに整理を始める点が最大の特徴で、生前整理との違いと言えます。
始める時期に決まりはありませんが、ちょうど子どもの独立や、定年退職を意識する40代後半~50代が最も多いようです。

遺品整理の前に知っておきたいポイント

1.相続税にご注意

遺品の中で金銭的な価値が高いものは、遺産相続に影響し相続税が発生するものがあります。例をあげると「預貯金」「株や証券など」「不動産関係(住宅や土地など)」「美術品、骨とう品」「車」「家財道具」「債務の借金」などが該当します。
これらには故人が亡くなって10ヶ月以上経過すると最大20%もの重加算税が発生します。

遺族の負担を増やさないためにも、相続税が発生するものに関しては後回しにせずなるべく早めに整理するようにしましょう。一方、相続に関係しないその他のもの(衣服や服飾品など)の遺品ついては、時間をかけてゆっくりと整理していけばいいのです。

また、もし借金を相続する可能性がある場合も、故人の借金額を把握するために早めに遺品整理をすることが必要です。借金を相続すると借金の支払い義務が生じますが、3か月以内であれば相続放棄が可能です。そうすれば借金を受け継ぐ必要はなくなります。ただし、同時に遺産もすべて放棄しなければなりませんのでご注意ください。

2.遺品供養について

遺品の中には仏壇・位牌・お札・人形など供養が必要なものもあるでしょう。それらを処分する場合は寺社に依頼し供養をしてから処分します。また、遺品整理業者でも遺品供養を行っていることがあるので相談してみるのもよいでしょう。

3.デジタル遺品について

デジタル化が進む現代社会において、整理すべき遺品が「目に見える物」だけではなくなってきています。今や当たり前のように活用されているパソコンやスマートフォンをはじめ、インターネット上に保存しているデータなどは、使用者が亡くなると「目に見えない遺品」となり、それらは「デジタル遺品」と呼ばれています。

「デジタル遺品」には電話番号・住所・メールアドレスをはじめ、ネットバンクの利用状況、FXの取引状況、クレジットカードの履歴など、トラブルを招きかねない個人情報が多く含まれています。
ITに詳しくない遺族にとってデジタル遺品は、どう扱っていいのかわからない困った存在でしょう。
そうした場合は、デジタル遺品の専門業者に任せるのもひとつの方法です。

4.遺品整理を業者に依頼する場合

遺品整理は遺族にとって時間も労力もかかる大変な作業です。そこで最近は、遺族の代わりに遺品整理を行う業者が増えています。

遺族が遺品整理をすると、故人を思い出すもの、昔を懐かしむものなどが次々と出てくるでしょう。それらをひとつひとつ手に取って作業をしていたら、感情移入をしてしまい作業が思うようにすすみません。

遺品整理をいつまでに終了させたいといった予定があるのであれば、感情に左右されず効率的に整理をしてもらえる業者に任せるのがおすすめです。

業者に頼めば、運び出しができない重いものや、処分が難しいものも対応してくれます。また、遺品の量や内容を事前に確認してそれに見合った人数で作業にあたりますので、短時間で整理を完了させてくれます。

まとめ

遺品整理をいつからはじめるかは、ご遺族のお気持ちや状況次第です。しかし、いつまでに何をしたらよいのかある程度の目安がないと、どんどん時間は過ぎていきます。
遺品整理の作業は大変な時間と労力を要するもの。できるだけ一人で抱え込まず、親戚同士で協力しあったり、経験豊富な専門業者に相談されたりして、納得のいく遺品整理を行ってくださいね。

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