国民生活センターに寄せられる相談のうち、遺品整理業者に関する相談が増えているそうです。悲しみを乗り越えたあとのトラブルは、心身ともに疲弊してしまいます。相談の多い3つの事案をご紹介するとともに、その解決策を探っていきたいと思います。
悪質な高額請求に関するトラブル】
遺品整理のトラブルでまず挙げられるのが、料金に関するものです。そもそも、遺品整理を謳った業者が現れたのは、超高齢化社会に需要があるからです。何十年も遺品整理だけを行ってきた業者はほとんどないでしょう。数多くの業者が、ここ数年で新規参入してきたといえます。
遺品整理を依頼する側も、恐らく初めての遺品整理です。どれくらいの料金がかかるのか、経験値として持ち合わせていない為、業者からの言い値を鵜呑みにし、後から高額請求をされてトラブルになるというわけです。
まず、遺品整理業者からの見積もりを必ず複数社から取ってください。それらを照らし合わせると、いいかげんな業者はどんぶり勘定で見積もりを出しているのが一目でわかるはずです。最初の見積額が安いということで決めてしまうと、後から高額な追加料金を取られかねません。また、見積書の中で不明な内訳については遠慮なく質問しましょう。その内容と額の根拠をきちんと説明できるかは、業者の良し悪しを判断できる材料になります。
不当な買取額を提示されるトラブル
遺品の中には、価値のあるものが残されている場合があります。貴金属は分かりやすいのですが、骨董品など素人には判断がつきにくいものも存在します。業者に言われるがままに強引に買取られた後で、その何倍も価値のあるものだと判明したという相談が寄せられているのです。
業者がその場ですぐ「買取りたい」と申し出ても、即決せずに一度持ち帰って、業者の目利きが確かかどうか見極めることをおすすめします。適正価格の判断は素人には大変難しいものですが、ネットオークションで同じような商品があれば相場を知ることができます。後悔しないためにも、ご自身で納得できる価格を調べるべきだと思います。
さらに、買取に関しては「古物商許可」という認可が必要です。業者が取得しているかどうかもポイントになりますのでチェックしておきましょう。
遺品を勝手に処分または不法投棄されるトラブル
遺品は、自分の持ち物ではないため何がどれだけあるかを把握するのは難しいでしょう。その為、業者が紛失したり勝手に処分したりしたとしても気づかない場合がほとんどです。
こういったトラブルを回避するためには、作業日に立ち会えるか業者に確認しましょう。もし正当な理由なく立ち会いを嫌がるようなら、少し警戒した方がいいかもしれません。
遺品の不法投棄も深刻な問題です。業者だけでなく、依頼者側も責任を問われる事態に発展しかねません。一般家庭の不用品を処理する場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。似たものに「産業廃棄物収集運搬業許可」がありますが、遺品整理で一般家庭から出るものを処分する場合は一般廃棄物の方が必要ですので、業者がそちらの許可を取っているか確認しましょう。
今回ご紹介したトラブルを未然に防ぐためには、信頼できる知人友人からの口コミを参考にするのも有力です。遺品整理で業者とのトラブルに巻き込まれることは、決して他人事ではありません。「揉めたくない」と泣き寝入りしては悪徳業者の思うつぼです。相談出来る第三者機関は自治体を含めたくさんありますので、もし不当な要求をされたときは、必ず誰かに相談してください。遺品整理が後味の悪いものになってしまえば、亡くなった故人も浮かばれません。優良な遺品整理業者を見つけ、故人の持ち物が丁寧に整理されることを願います。
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