遺品整理は突然に~遺品整理の手順まとめ~

遺品整理は突然に~遺品整理の手順まとめ~

遺品整理の機会は、人生で何度も訪れるものではありません。「遺品整理をして下さい」と言われても、ほとんどの人が初めての事ですので遺品整理の仕方が分からず途方にくれてしまうでしょう。もしもの時の手助けになるよう、遺品整理の手順をまとめました。

遺品整理の前にすべきこと~スケジュール管理~

突然の訃報であればあるほど、悲しみから心身ともに癒えるには時間がかかります。しかし、遺品整理にかける時間は限られていることがあります。

遺品整理を一般の人が行った場合、その部屋の大きさや荷物の量にもよりますが、3LDKの一軒家で1日8時間作業をしても約2週間かかると言われています。作業時間はなるべく余裕を持って見積もったとしても、親族だけで行う遺品整理には膨大な労力と時間がかかることを覚悟しなくてはなりません。

ですので、遺品整理にはスケジュール管理が大変重要になってきます。そのうえで、体力・気力ともに消耗してしまいますので、一人で遺品整理を行うことはなるべく避けた方がいいでしょう。親族が大勢いる場合は、人員確保の意味でも親族に頼るべきだと思います。親族の協力を仰ぐことは、人手を確保する他に、揉め事が起きないようにするためでもあります。遺品整理を事前に知らせず個人の判断で進めてしまうと、後から「譲ってほしい物があった」などと言われたり、価値の高い物や家宝とは知らずに処分してしまったりして、後々の親族間トラブルに発展する恐れもあります。残念なことに、親族間の方が物言いに遠慮が無くトラブルになるケースが目立ちます。

まず、遺品整理に関わる作業に期限があるかを確認しましょう。これは、何よりも先に行ってください。持家の場合を除いて、賃貸契約を結んでいた場合、解約手続きをしなければ家賃が発生します。管理会社等に退去の連絡を入れると、退去期限が設けられますのでそれまでに部屋の荷物を整理する必要があります。賃貸住宅の場合はとくに、出来るだけ早く片づけを完了させましょう。空き家になったにも関わらず、そのまま放置しておくのは管理会社や近隣住人へも迷惑がかかることになりかねません。

その他に期限があるものとしては、遺言書や相続に関するものが挙げられます。遺言書の確認や相続放棄などの期限は没後3ヶ月になっています。また、故人の所得税準確定申告の期限は亡くなってから4か月です。さらに遺品に相続税がかかるものがある場合は、その後10カ月以内が相続税の申告期限ですので、 それまでに整理する必要があります。相続税がかからない日用品などは片づけに少し猶予がありますが、今挙げたような内容のものには期限があると心得ておかなければいけません。

次に、作業日の決定です。遺品整理を行うと必ず処分品が山のように出てきます。ゴミの収集日は決まっていますので、燃えるゴミや燃えないゴミの日の確認はもちろん、粗大ゴミの収集日をチェックすることも忘れてはいけません。それらの日程を確認したうえで、遺品整理を行う作業日と完了日を設定しましょう。遺品整理が必要な住居から、ご自身を含め親族全員が遠方に住んでいる場合は、四十九日で親族が集まった際に全員のスケジュールを照らし合わせて作業日を複数日決めたり、遺品整理の役割分担が出来たりすれば、その後の作業も比較的スムーズに進むと思われます。

以上のように、スケジュールを決めることが遺品整理の第一歩だと言えます。複数の事柄を考慮しながら進めなければならないので、なかなか単純には決められないものですが、計画的に進めることが、遺品整理を確実に終わらせるためにはとても重要だと思います。

遺品整理の前にすべきこと~事前準備~

日程が決まれば、あとは遺品整理を行っていくことになりますが、作業に取り掛かる前に必ず事前準備を行ってください。事前準備の具体的な内容をご説明していきます。

◆下見に行く
遺品整理を行うべき住居を、作業日当日に初めて訪れるのは大変危険です。現状を確認せずに始めてしまうと、思った以上に荷物の量があって計画通りに進まなくなり、挫折してしまうでしょう。荷物の種類や量によって用意する道具なども異なってきます。大型のゴミや家電の種類を把握し、通帳や印鑑、貴金属などの貴重品は事前に引き上げておくと作業中に紛失することも防げます。必要であれば部屋の写真をとって現状を記録し、それを見ながら作業日までに段取りをイメージ出来るといいと思います。

◆近隣への挨拶
昨今は近所付き合いも希薄になり、隣の人の顔も知らないことがあるかもしれません。しかしながら、遺品整理には時間がかかります。作業中に人の出入りが激しくなり、トラックなどを利用するとなると音の問題も気になります。作業中にご迷惑をかけてしまう恐れもありますので、出来るだけ事前に近隣への挨拶を済ませておくべきでしょう。

◆道具や梱包材の準備
遺品整理をするには、たくさんの道具や資材が必要です。梱包材として、ダンボール箱、ゴミ袋、梱包テープ、梱包ロープなどがいります。また、荷物の搬出に台車があれば大変重宝するでしょう。工具もあれば便利です。遺品整理の場合、荷物を全て把握しているわけではありませんから、どんな物が出てくるか分かりません。開かないもの、外れないものが出てきた時にドライバーやペンチなどがあれば、対処できる可能性があります。
作業日の服装は、汚れてもいい恰好をしてマスクを着用しましょう。大型の荷物を運び出すため、トラックなど運搬用の車を確保することも重要です。1回で積み込める荷物の量は限られていますが、軽トラックは普通免許でも運転できますし、レンタカーで借りることも可能です。

◆業者のチェック
整理した遺品をリサイクルに出す場合は、事前に業者を選別しておきましょう。リサイクルショップはたくさんありますので、信頼できる業者を選んでおきたいところです。遺品を引き受けてくれるか、骨董品などの目利きができるか、現地まで引き取りにきてくれるのか、持ち込まないといけないのかなどを確認しておきましょう。

◆郵便の転送、電気、ガス、水道、携帯電話の解約
賃貸物件にお住まいの場合は必ず必要になってきます。自身の住まいではない分、各会社の連絡先がすぐには分からないことがあります。その時になって慌てないように、連絡先を含め解約手順を下調べしておきましょう。忘れがちなのが郵便物の転送です。亡くなったことを知らずに送られてくると、差出人のもとへ返ってしまいます。手紙やハガキが放置されて失礼にならないよう、親族のもとに届くように手続しておきましょう。

遺品の分類

事前準備を全て終えると、作業に取り掛かれます。作業はまず、遺品を分類するところから始めましょう。大きくは「捨てる」か「残す」かの二択になるかと思います。捨てる場合は、捨てる物ごとに分類しなければいけません。部屋が複数ある場合は、部屋ごとに分類の袋や段ボールを用意しておくと作業がはかどります。
遺品整理は、居室だけに限りません。台所やお風呂・トイレなどの水回り、押入れや引き出し、タンスやクローゼット、床下収納や屋根裏などの収納スペース、一軒家であれば庭に置いてある園芸道具や花木さえも処遇を決める対象となるのです。気の遠くなるような作業ですが、故人の想いを汲みとれる最後の時間だと思い、全ての遺品を自身の手で確認しながら分類していくという気概で行って頂きたいと思います。では、遺品の種類で分類しながらその処分方法も合わせてみてみましょう。

◆食材や調味料などの食品(燃えるゴミ・燃えないゴミ・ビンカン)
冷蔵庫やキッチンに残っている食品や調味料をまず始めに処分してしまいましょう。未開封のもので賞味期限のあるものは、持ち帰ることもできるかと思います。食品は傷んでしまうと臭いが発生しますので、作業の最初に片づけるのが無難だと思います。使いかけの調味料などを処分する場合は中身を捨てて、空き瓶や空き容器は自治体の区分に従って分別しましょう。分別を疎かにしたまま捨ててしまうと、回収してもらえずゴミ置き場に放置されることがあります。そうなると近隣住民にも迷惑となりますので絶対にやめましょう。

◆洗剤各種(燃えないゴミ・ビンカン等)
こちらも使いかけのものは処分となりますが、作業後の清掃に使用できるはずですので、ひとまとめにして置いておきましょう。買い置きなどで未使用のまま残っていた場合、使えるものは持ち帰って利用するのがいいでしょう。作業が終わり清掃も済んで、洗剤の出番がなくなってから処分に回します。この時も、中身と容器の分別には気をつけましょう。

◆大型家具、電化製品(粗大ゴミ・買取)
ソファやテーブル、椅子、タンスやドレッサー、ベッドなどの大型家具は、使用に問題がなければ買取に出せる可能性があります。もし、それらを処分するとなると粗大ゴミとして自身で搬出も行わないといけませんし、粗大ごみの日は自治体によって年数回と決められており、タイミングよく粗大ごみの日があるかは分かりません。また、エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの大型家電を処分するとなると、家電リサイクルの対象となり処分するのに費用がかかります。家電も故障さえしていなければ値段がつく可能性が高いです。取扱説明書や保証書が見つかれば一緒に保管しておきましょう。労力のいる家具や家電などの大型のものは業者に一任するのが賢明かと思います。

◆衣類・下着(燃えるゴミ・買取)
もっとも量が多いと予想されるのが、衣類です。汚れがひどい衣類や下着は燃えるゴミとして処分しましょう。古い衣類を買取に出されたことがある方は多いかと思いますが、こと遺品となると次の使用者の気持ちを考えるとお勧めできません。着物などが見つかった場合、高値がつくと思いがちですが、よほど保管状態が良い場合を除いて、着物には黄ばみや虫食いが発生しやすいものです。状態のよい高価な着物が見つかったとして、買取に出したときに高値がつかなかったとしても落胆しないで下さい。

◆食器、調理器具(燃えないゴミ・ビンカン)
食器などはビンカンの日に出しましょう(自治体により異なる)。毎週回収日があるわけではないので、その日までにまとめておくことが大事です。ブランドもののカップは買取対象となる可能性が高いですので、別に分けておきましょう。調理器具も使えるものは持ち帰ってお使い頂いても構いませんが、処分する場合は燃えないゴミやビンカンに分類されると思います。食器と同様にすぐ出せる状態にまとめましょう。

◆布団などの寝具(燃えるゴミ・粗大ゴミ)
自宅で亡くなった場合、布団は恐らく亡くなるその日まで故人が使用していたと思われます。買取に出せるのは新品に限られてしまいますので、もったいないと思うのであれば親族がクリーニングして使ってもかまいません。処分する場合は、自治体のゴミ回収ルールによりますが、燃えるゴミか粗大ゴミで出すことになります。粗大ゴミの日は収集日も少ないですので、忘れないように気をつけましょう。

◆仏壇・仏具・位牌などの祭祀財産(お焚き上げ)
遺品整理でその処分に頭を悩ませるものの代表が仏壇です。粗大ゴミとして出したり、買取に出したりもできますが、処分するのは正直気が引けてしまうのが本音ではないでしょうか。親族の誰かが持ち帰って、引き継げるのであればそれが一番良い方法かもしれませんが、なかなかそうはいかない事情もあるかと思います。仏壇は、寺院に持ち込んでお焚き上げという供養をしてもらう方法があります。読経をしてから処分になりますので、故人にも失礼がないのではないでしょうか。

◆本(廃品回収・買取)
故人のお気に入りの本や、親族で持っておきたいという本を除いては買取に出せるでしょう。古本の売買は馴染みのあることだと思います。人気の書籍でない限り、あまり高値はつかないかもしれませんが、一気に引き取ってもらえるので大変助かります。本は量があるとかなり重くなります。買取店まで持ち込めない場合は、回収日をチェックしてから廃品回収に出してしまってもいいかもしれません。

◆日用品・雑貨(燃えるゴミ・燃えないゴミ)
こまごまとした日用品が、実は一番厄介かもしれません。細かい仕分けになるので、時間がかかるでしょう。なかなか片付かなくても、気落ちせず根気強く整理してください。割れ物が出てきた場合は、怪我をしないように、回収日まで新聞などでくるんで保管しておきましょう。

◆迷ったもの(保留)
遺品整理をしていると、必ず捨てるかどうか迷うものが出てきます。その時に判断出来ないものは、一度持ち帰って、時間をおいてから考えてみてもいいのではないでしょうか。

全てのものが片付いたら、仕上げに掃除をしましょう。部屋が綺麗になれば、遺族の気持ちの整理もつきやすいと思います。賃貸物件の場合は、原状回復の必要がなく、居室が綺麗であればあるほど管理会社への心象もよくなります。敷金の返還にもつながりますので、もうひと踏ん張り頑張りましょう。

引っ越しとの違い

遺品整理の手順は、引っ越しの手順によく似ています。しかし、根本的に違うのは、もう荷物を使う人がいないということです。引っ越しの場合、片付かなければ、とりあえず荷造りして新しい場所に運び、また使うことが出来ます。しかし、遺品整理の場合は作業をただ先送りにしただけで解決にはなりません。引っ越しよりも「捨てる」に重点を置いた姿勢が大切です。

遺品整理に困ったら

遺品整理の手順を出来るだけ詳細にご紹介しましたが、これらの作業がいかに大変かお分かり頂けたかと思います。素人の手でやれば、費用はさほどかからずに終えることができるでしょう。しかし、遺品整理にかける時間と労力は想像以上だと思ってください。超高齢化社会が進むにつれ、故人の親族も高齢者となっている場合が多くなるでしょう。時間は確保できても、気力と体力が続くか不安になる方もいらっしゃると思います。
遺品整理の手順を確認し、不安を感じるようであれば、無理をせず遺品整理のプロに依頼することをお勧めします。
遺品整理を専門に行っている業者に依頼すれば、1日で遺品整理を終わらせることも可能です。数々のゴミの分別や、ゴミ収集日を気にすることなく、頭を悩ませていた遺品整理から解放されるでしょう。また、遺品整理士という資格を取得している従業員が所属している業者であれば、遺品に対する心遣いを身に着けていますので、故人の持ち物をぞんざいに扱うこともありません。お焚き上げに対応しているところもありますので、業者選びの際に確認してみて下さい。

遺品整理を経験した人は、「想像以上に大変だった」と言います。故人との関わりが深ければ深いほど、手が止まり遺品整理は進まないものです。ご自分だけで行うか、業者の手を借りるかを判断するとき、この手順を一読し、居室を下見したうえで決めて頂ければと思います。思ったよりも物量があり時間が足りなかったり、遺品整理が重荷となって悩んだりするのであれば、専門業者に依頼するのがいいでしょう。遺品を第三者に任せることは、遺族の怠慢ではありません。故人はきっと遺族が笑顔でいられることを願っていると思います。

 

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