これから書くことは、理想論だと承知しています。それでも「高齢の親に引っ越しを勧めよう」と、敢えて言わせて頂きます。大きな家の遺品整理は、困難を極めます。親の為、自分の為に引っ越しをすれば遺品整理が重荷になることを避けられるかもしれません。
なぜ引っ越しを勧めるのか
遺品整理はとても大変な作業です。親と疎遠であったり、親と別居して遠方であったりすればするほど現状を確認出来ない分、その時になってから遺品整理を進めるのは難しいと言えます。独り暮らしの高齢者の家が、ゴミ屋敷に近い状態になっていることも珍しくありません。そうなれば遺品整理が親族の重荷になり、悩みの種となり、揉め事に発展してしまうでしょう。
では、どのように遺品整理を回避、もしくは遺品整理の負担を軽減すればいいのでしょうか。その答えの一つとして「引っ越し」があります。生前のうちに住まいを小さくして物を減らし、遺品整理の対象を少なくしてしまえばいいのです。親が年を取る前に、小さな住まいに引っ越ししましょう。
年を重ねると頑固になり、物事への柔軟性が失われていきます。引っ越しをすれば、新しい住環境での生活が待っています。それに適応できる精神力がなければいけません。引っ越しには体力も必要です。親が高齢になれば、子どもも親族も平等に年を取るのです。ですので、引っ越しをする本人、それをサポートする親族も若ければ若い方が動きやすいでしょう。
通常の引っ越し作業と同様に、住まいを変えるタイミングでは必ず家の中のものを整理することになります。恐らく人生で最後になる引っ越しは、なかなか物を捨てるタイミングを作れない高齢者にとっては、またとないチャンスです。大がかりな断捨離は、後にも先にもこの引っ越しの機会だけかもしれません。それを逃せば、全てが遺品整理へと回されてしまうのです。
メリットはまだあります。もし親が持家に住んでいる場合、生前のうちに売却するのと遺産となってから空き家で売却するのとでは、かかる税金の額も全く異なってきます。長らくローンを支払い、やっと自分の物になった家を売ることに相当の抵抗があることは承知しています。しかし、その拘りが子どもや孫の損益や負担になることを理解して頂きたいのです。
親への提案の仕方
遺品整理に「引っ越し」が非常に有効な手段であると理解して頂けたところで、どのように当事者の親に話をすればいいかは、また頭を悩ませると思います。恐らく、なかなか首を縦には振ってくれないでしょう。しかし、引っ越しのメリットは多々あります。一気にまくしたてるのではなく、一つずつ親の不安を取り除く気持ちで話をしましょう。その時、「遺品整理の負担を減らしたい」とストレートに伝えては角が立ちますので、親の立場になって言葉を選ぶようにして下さい。
終の棲家をみつける
一念発起して住まいを新しくしたのであれば、その後も「引っ越してよかった」と思う暮らしをしてほしいですよね。考えられるのは、ワンルームの賃貸物件か高齢者施設です。
一般的な賃貸物件は、高齢であるという理由だけで入居しづらくなるという現実もあります。やはり、若いうちに引っ越すのがベストです。場所は、出来るだけ「スープの冷めない距離」である方が安心でしょう。高齢者施設も、シニア向けのマンションから介護施設まで多種多様です。このような住居を希望する場合、まとまった一時金が必ず必要になりますので、家族でよく話し合うことが大切です。
最後に
高齢の親が小さな住まいに引っ越しをすれば、必ず遺品整理は楽になります。それは親と子ども、双方にメリットのあることです。そう思えば、お互いに前向きな話し合いが出来るのではないでしょうか。