ゴミ屋敷で遺品整理業者に依頼するといくらかかる?

ゴミ屋敷で遺品整理業者に依頼するといくらかかる?

住人亡き後のゴミ屋敷を、遺品整理業者が片づけている映像を見たことがある方も多いと思います。独居老人の増加が進む現代、ゴミ屋敷の問題はいつ自分に降りかかってもおかしくありません。ゴミ屋敷の片づけを遺品整理業者に頼んだ時の費用を調べてみました。

ゴミ屋敷とは

そもそも「ゴミ屋敷」というのはどのような状態を指すのでしょうか。2014年に、所謂「ゴミ屋敷法案」が可決されました。それによると、ゴミ屋敷とは自分が住んでいる土地や建物の居住地にゴミを積み上げて溜めこんだり、世話が出来ない動物を複数放置したりすることで、近隣の住人に迷惑をかける家屋やその状態を「ゴミ屋敷」と定義しているようです。

ゴミ屋敷の問題は社会問題化しています。悪臭や害虫・害獣、倒壊の危険、犯罪や放火の被害に遭いやすいなど周囲に多大な迷惑をかけるという理由で、ここ数年は条例を制定して対策を取る自治体も増えています。

また、これまで問題になるのは一軒家が多かったようですが、単身世帯の増加にともないマンションの一室がゴミ屋敷化するケースが急増しているとも言われています。

ゴミ屋敷と高齢者

このように居住地をゴミ屋敷にしてしまう人は、独り暮らしであることがほとんどです。加えて、年齢が高いという特徴があります。独り暮らしの高齢者がゴミ屋敷を作り上げてしまう傾向にあるのです。

そもそも高齢になると身体機能が低下し、掃除や整理整頓がおっくうになっていきます。そして「自己放任(セルフネグレクト)」という精神状態に陥り、身の回りの事ができなくなってしまうのです。認知症が重なると、さらに重症化していきます。

お年寄りがそういった状況に追い込まれてゴミ屋敷に至るには、いくつか理由があります。

①孤立している
近隣の地域住民とも関わりがなく親類とも疎遠で独り暮らしをしていると、何か生活に不都合が起こっても1人で解決しようとします。その状況が長引くと、寂しさや孤独感が募り、「誰も助けてくれない」「誰にも頼れない」という気持ちが周囲への不安や不信感へと変化していきます。生活環境が悪化しても、「他の人には見られたくない」という思いから自ら関わりを断とうとするため、ますます孤立するという悪循環に陥るのです。

②心身の機能低下
足腰が弱ってくると、ゴミだしの作業が辛くなってきます。特にマンションに住んでいる高齢者の場合、重たいゴミを持って1階に下りるのが困難になります。
身体機能の低下だけではありません。物忘れが始まるとゴミの分別が出来なくなり、毎週決められたゴミの日が思い出せずゴミを出すことさえも忘れてしまうのです。また、高齢の方は物への執着が強いため、次第にゴミを「ゴミ」だと認めなくなります。

このように、高齢になると体力や意欲が衰え、毎日の生活の質が徐々に低下していきます。その結果、ゴミを家に溜めてしまうのです。この時、周囲に頼れる人がいればゴミ屋敷という最悪の状態は回避できるのですが、コミュニケーションが希薄になっているため、状況が悪化してから、もしくは住人が亡くなってからゴミ屋敷に気が付くということになるのです。

親の住んでいた家がゴミ屋敷になっていたら

もし高齢の親や親族が亡くなった後、住居がゴミ屋敷になっていた場合どうすればいいのでしょうか。遺族が自分たちの手で片づけるという方法もありますが、悲しみに暮れている中、ゴミに埋もれた部屋を見て現実を受け止めることさえ困難でしょう。葬儀やもろもろの手続きもこなさなければいけません。

その場合、やはり専門の業者の力を借りるのがベストだと思います。見たこともないような量のゴミだった場合、素人が作業を行うには想像以上の労力と時間を有します。特に、住人が亡くなっている場合は、遺品整理も並行して行う必要があります。

プロに依頼すれば確実に片づけが出来るとともに、大切な遺品の整理も可能です。最近では、遺品整理士という資格をもった専門スタッフが作業にあたる業者もあります。有資格者がいれば、ゴミとして処分するものと遺品として残すものを見極めてくれます。また、遺品の扱いにも長けていますので、安心してお願い出来るのではないでしょうか。

ゴミ屋敷の片づけ費用

遺品整理をかねたゴミ屋敷の片づけとなると気になるのは費用です。業者によって差はあると思いますが、大きく分けて4つの費用区分があります。

①基本料金
ゴミの処分費用は、片づけを行うべき部屋の面積によって決まります。何LDKでいくらというように設定されていることが多くなっています。

②人件費
ゴミの量と搬出経路を鑑みて片づけにかかる時間を考慮し、作業にあたる人数を割り出します。もちろん人数が多くなればなるほど、費用はかさみます。

③車両費
ゴミの搬出に必要な車両の大きさで費用が変わります。軽トラックなのか2tトラックなのか、何台必要かによって料金が変わってきます。

④清掃費
ゴミ屋敷の場合、腐敗臭がしたり害虫や害獣が発生したりしていることがよくあります。賃貸物件の場合は、敷金だけでは賄えないほど住宅が傷んでしまっていることも多いそうです。原状回復のために別途清掃費が必要になることもあります。

以上の点を踏まえたうえで、具体的な価格はどの程度になるのでしょうか。いろいろな業者の情報をまとめてみると、大まかには下記のようになりました。業者によっても差がありますので、あくまで参考としてご覧頂ければと思います。

多くの専門業者がパック料金というものを設定していました。これは、使用する車両の大きさによって積めるだけゴミを積んで持って行ってくれるというものです。

例えば、軽トラック1台のパック料金であれば人件費や処分費も含めて3~4万円が相場のようです。軽トラックの積載量は約2.7立方メートルですので、比較的にゴミの量が少ないワンルームなどには適しているかもしれません。

2tトラックの場合、積載量は約5立方メートルまで増えます。だいたい3畳くらいの広さで高さは1mまで荷物が積めますので、ゴミの量が多い独り暮らしの部屋であれば対応できそうです。費用は5~8万円程度のようです。

しかし、一軒家の家中がゴミだらけの場合は2トントラック1台では収まりません。かなりの費用がかさんできます。戸建ての場合、単純にワンルームが4部屋あると考えて20万円程度の出費になる可能性が高いです。

ご紹介したパック料金は単純にゴミの搬出のみの作業になるため、ここに清掃費が入ると、もう少し費用がかさむことになります。程度にもよりますが、清掃費は2~3万円の上乗せになるでしょう。

遺品整理をするために別途費用を設定している業者はあまりないようですが、遺品の取り扱いを勉強した有資格者がいるといないとでは依頼する側の安心感が違います。

なんにせよ、複数社から見積もりを取って納得できる価格で契約することが大切です。

ゴミ屋敷にさせないためには

ゴミ屋敷の片づけには、それ相応の費用が掛かることがお分かり頂けたと思います。ゴミ屋敷は一朝一夕にできるものではありません。少しずつ悪化していくものです。

高齢者の自宅をゴミ屋敷にさせないためには、日常的にコミュニケーションを取っておくことが重要になります。場合によっては、半年程度で業者に頼まないといけないくらい状況が劣悪になるケースもあるそうです。

高齢の親が亡くなった後にゴミ屋敷だけが残されて後悔しないように、離れて暮らしている場合は特に定期的に様子を確認することが必要ではないでしょうか。

 

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