エンディングノートとは、主に高齢になった方がこれから迎える終末期に向けて自身の希望を書き留めるためのものです。そのノートと整理整頓、一見無関係に思えますが、実は家の中を片づけるのに役立つのです。その活用法を紹介します。
エンディングノートに書くこと
なぜエンディングノートを残すことが注目されているのでしょうか?日本人の平均年齢は男女ともに80歳を超えました。人生を最期まで元気で過ごすことが出来るかと言えば、なかなか難しいでしょう。いざ身の回りの整理をしようと思っても、気づけば思うように体が動かない年齢になっているものです。年を重ねると判断力が鈍り、意思の疎通も難しくなってきます。そうなる前に、人生を振り返りながら自分の気持ちを書き残しておこくことで、終末期の様々なトラブルを回避することができるのです。
エンディングノートは別名「遺言ノート」とも呼ばれています。しかし、正式な書式などはなく、書くことが決まっているわけでもありません。遺言書のように法的な効力がない分、どちらかと言うと気軽に始められる終活のツールの一つと言えます。
エンディングノートは、本屋や文具店はもちろんインターネット通販でも入手可能です。また葬儀会社などは資料請求の際に無料で送付してくれる場合もあります。NPO法人や自治体なども無料配布しているところがありますし、書き方講座も開かれているようです。
様々なエンディングノートが出回っている中、代表的な項目としては以下が挙げられます。
①ご自身の人生のこと(プロフィール、家系図、自分史、友人・知人のこと等)
②終末の在り方について(介護、痴呆、延命、葬儀、墓についての希望等)
③遺品の取り扱いについて(相続、財産、貴金属、預貯金、形見分けに関すること等)
④その他(生活用品など所有物の処分、IDやパスワードの一覧、ペットの処遇等)
一問一答形式で書かれているものや、全くの白紙から始めるものなど書式は様々です。
エンディングノートで整理整頓
さて、本題のエンディングノートと整理整頓についてです。エンディングノートには前述したような項目が並んでいます。その中に、遺品の取り扱いや所有物の処分について書き記すページがあるはずです。その部分を活用して、身の回りのものを片づけていきます。整理整頓が苦手な方でも、エンディングノートがきっかけになることでしょう。ノートに書ききれないのであれば、少しばかり物を持ちすぎているのかもしれません。ノートのページ数が、人生の終わりに持つべき荷物の量の一つの目安になるのです。
また、持ち物を整理することは家族のためでもあります。年老いた家族を見送ったあと「残された遺品はどうすればいいのか」という悩みはつきものです。たとえご自身で片づける余力がなかったとしても、直筆で遺品の処遇を記してあれば、遺族は悩むことはないでしょう。そうすれば、残された家族の精神的な負担を減らすことができます。
エンディングノートは、あなたにとって必要なものを明確にする秀逸なツールです。自身の過去を振り返り、現在、未来そしてエンディングに思いを馳せることによって、ご自身の根幹となるものがはっきりすれば、本当に必要なものだけが手元に残るでしょう。物が多いことが現世への未練にも繋がりかねません。人生を重ねたからこそ、厳選されたものに囲まれてスマートな暮らしが出来るはずです。
確かにエンディングノートを書くことは終活の一部です。しかし、整理整頓のナビゲーターと思えばノートを手に取るハードルは低くなるのではないでしょうか。どうぞ気軽な気持ちで、エンディングノートを開いてみて下さい。