ゴミ屋敷の清掃を依頼する際の業者、費用、手順、簡単解説

ゴミ屋敷の清掃を依頼する際の業者、費用、手順、簡単解説

身内が亡くなった後で悲しみに暮れる中、ご遺族に待っているのは「遺品整理」です。多かれ少なかれ、必ず故人には「遺品」が存在します。それが近年話題の「ゴミ屋敷」だったら・・・?そこで今回は、ゴミ屋敷清掃のための業者依頼の手順などをご紹介します。

核家族化で増えるゴミ屋敷

核家族化が進み、疎遠になってしまっていた実家がいつの間にかゴミ屋敷に。足の踏み場のないゴミ屋敷。そんな家をどう片づければいいのか。昨今、残念ながら、そのような悩みを抱える方が増えてきています。もしそこに遺品整理も絡んで来たら?もう家族や親族の手には負えなくなってしまうのではないでしょうか。

山積みになってしまった大量のゴミと遺品。その中から大切なモノの選別・ゴミの分別・廃棄をしなければならず、整理するやり方がわからない。遺品整理自体、多くの労力・時間を要するものです。しかしその前に途方に暮れてしまいますよね。

ゴミ屋敷を清掃する方法とは?

ゴミ屋敷の清掃には、大きく3通りのやり方があります。
①ご遺族の手で、自治体のルールに沿って1つ1つ片づける
②行政代執行
③専門の業者に依頼する

床一面に広まったゴミを片付けるくらいなら、時間がかかっても①のやり方で、ご遺族で片づけるのは可能かもしれません。用意するものはゴミ袋・マスク・手袋・ゴミを運ぶ台車などで、費用も抑えられますし、他人にゴミ屋敷化した家を見られなくて済むというメリットがあります。
しかし、ゴミ屋敷の片づけには、相当の忍耐力と力を必要とし、多くの方が途中であきらめてしまう、という状況が多くみられます。
また遠方に住まわれているご遺族の方の場合や、遺品整理する先が賃貸物件の場合などは、時間がかかってしまうというデメリットの方が大きいかもしれません。

また、ゴミが頭上高く積みあがっている場合や、家の外まであふれ出てしまっている場合、遺品整理でどれが大切なものなのかがわからない、大切な資料がどこにあるかわからない、このような場合、専門の業者に依頼することをおすすめします。
ではその際の費用はどのくらいかかるのか、どのような手順でお願いできるのかについてご紹介します。

その前に②の行政代執行って?

行政代執行とは…行政の機関などからの指導に従わない場合、これを強制的に撤去または排除などを行う行動のこと。

増え続けるゴミ屋敷に対して、行政でも「ゴミ屋敷条例」で、個人の家であってもゴミを片付けることができるようになりました。しかしゴミといえども個人の財産なので、通常の場合は行政が簡単に手を出すことはできません。
そこで再三に渡り、居住者や所有者に指導や勧告をします。それでも状態が改善されない場合、行政代執行が行われます。
大量のごみを放置していると、不法投棄の誘発、放火の原因、悪臭、害虫被害の拡大など更なる問題が出てくるため、周囲に迷惑がかかるゴミ屋敷に行政が対処できるようにしています。
業者に依頼すると費用が掛かってしまうため、その費用を惜しんでゴミ屋敷のままにしておくと、近隣の住民の方からの苦情で、行政代執行されてしまう場合があります。

行政代執行の費用は、多くの場合は、自治体が撤去費用を立て替えています。その額は、行政によって異なりますが、数十万円~数百万円とされています。立て替えた後、居住者や所有者に請求する流れになります。これを納付しない場合は、国税滞納と同じ扱いになり、強制徴収できるとなっています。

③ゴミ屋敷の専門業者って?

「遺品整理業者」という存在をご存知でしょうか?昨今、一人暮らしのお年寄りが増え、孤独死がたびたびニュースなどで取り上げられています。核家族化が進み、親族が疎遠になり、遺品の受け取り手がいなくなっているのも問題視されています。また、故人が賃貸物件に居住されていた場合は、早急に明け渡しをしなければならず、遠方に住んでおられるご遺族の方にとって、遺品整理は重圧になってきています。
そこで、近年急増しているのが「遺品整理業者」です。その数は現在9000社以上あると言われています。きちんとしたところに頼むことによって、遺品をゴミとして扱わずに、大切なものを選別し、金銭価値のあるものを見分けてくれます。いわば遺品整理のプロです。ご遺族では難しい大型家具の撤去・廃棄も手掛けてくれます。

ゴミ屋敷の専門業者と聞くと、「不用品回収業者」を思い浮かべる方が多くいるかもしれません。実は「不用品回収業者」もゴミ屋敷の整理に対応してくれます。清掃・原状回復にも対応してくれますが、遺品整理のような大切なものも仕分けなければならない場合、不用品回収業者はこれに対応していません。遺品の回収・廃棄・リサイクルなどは請け負っていますが、遺品整理として貴重品・大切な書類などの選別、遺品の供養などもお願いしたい場合は、遺品整理業者に依頼するのがおすすめです。

遺品整理業者はゴミ屋敷も片付けてくれるの?

答えは「yes」です。たとえゴミ屋敷であっても、プロの手でしっかりと、遺品とゴミを見分け、確実に処理してくれます。

遺品整理業者へ依頼する手順

①問い合わせ
ホームページなどを参考に、信頼できそうな業者を選び、問い合わせ。
※その際、まずは現地調査の日程確認をします。なお、ここで現地調査せずに見積もりを取ろうとするなどの場合は、悪徳業者の可能性があります。気を付けてください。
②現地調査
ゴミの量・家財の現状・必要な時間・必要な人員の確認。また、依頼者の希望の確認。
③見積もり・説明
作業内容の確認と、それに対する金額の提示。
④契約
上記の内容を吟味したうえで最も条件の合った業者と契約。
⑤作業
指定の日に業者が訪れ、ゴミの仕分け・遺品の仕分け・梱包・搬出・清掃を行う。

こちらが、一般的な流れとなります。

遺品整理業者にゴミ屋敷の整理を依頼した際の費用

専門業者に依頼すると高い?そう思われている方が多くいらっしゃいます。実際の相場を見ていきましょう。
●ワンルームの場合
ワンルームマンションなどで、1室のごみを整理する場合は比較的安価で対応できます。
軽トラック1台分のパック料金で請け負っている業者などでは、人件費・処分費・清掃費込み3万~4万円ほどで処理が可能です。
●ワンルームで頭上高くゴミが積まれている場合
ドアも開けづらくなるほどのゴミがたまっている場合、トラックが2トントラックに変更されると、5万~8万円ほどの費用がかかります。
●一軒家のゴミ屋敷の場合
この場合は、上記の2例以上に費用がかかることを念頭に置いておいてください。
大体の相場ですが
・2LDK…作業員4人で約15万円
・4LDK…作業員6人で約26万円
これらは家の広さ、ゴミの量、人員によって変動します。
しかし、行政代執行された場合、数百万円の金額が請求される可能性もあります。その金額に比べると、かなり費用は抑えられるのではないでしょうか。

どんな業者に頼むのがいいのか

近年、ゴミ屋敷に対応する遺品整理業者は増えています。しかし、残念なことに不当な金額を請求してくる悪徳業者も増えているのが現状です。
そんな被害に合わないためにもきちんと見積もりを取ることが大切です。1社だけでなく複数の業者に見積もりをお願いし、その作業内容もしっかりと確認しましょう。

では何に留意すれば良いのでしょうか。

・「遺品整理士」がいるか
遺品の大切さを知っている遺品整理士によって、ゴミに埋もれている故人の思い出の品も見つけてもらうことができます。もし価値のあるものが出てきた場合、法的手続きを行う可能性もあります。その際もしっかりとアドバイスを受けられます。
しかし、遺品整理士は国家資格ではありません。持っているからと言って、それだけで安心できるものではありませんが、業務上持っていることが望ましい資格です。持っていない業者は避けるに越したことはないでしょう。

・対応が親切か
依頼者だけでなく、故人への配慮もできているかを直接会って感じてください。
何にどのくらいの費用がかかるのかなど、どんな質問にも誠実に丁寧に説明してくれる業者が望ましいです。

・現地調査は無料か
作業だけでなく、現地調査にも出張費を請求する業者もいます。

・見積書を出してくれるか
悪徳業者につかまらないためにも、しっかりとした見積書を出してもらいましょう。ざっくりとした金額だけしか提示してこない業者は、作業後、追加料金を請求される恐れがあります。

・作業料金が明瞭会計か
どの作業でどのくらいの費用がかかるかを、きちんと説明してくれるかをチェックしてください。業者によって料金はまちまちですが、基本は部屋数・オプション(ハウスクリーニングやエアコンの取り外し、お仏壇や人形などの供養等)で決まります。
相場より低い金額を提示してくる業者は、もしかしたら不法投棄を行ったり、作業内容が雑であったりと、後々トラブルになるかもしれません。

・ゴミの処理の資格は持っているのか
ゴミ屋敷の片づけを行う場合、当然ですが大量のごみが発生します。
家庭から出たゴミは行政のルールに沿って処理する必要があります。それらを処理するためには「家庭系一般廃棄物収集運搬許可」という行政の許可を持っていなくてはなりません。しかしこの許可は取りづらく、多くの業者がこの許可を持っている別の業者と提携して作業を行っています。許可を持っていなければ、この提携先がしっかりあるのかを確認してください。
また、全く関係のない「産業廃棄物収集運搬許可」を持っているなどと謳っている業者は避けた方が良いでしょう。

・古物商許可証を持っているか
ゴミの中でリサイクルやリユースできるものが出てきた場合、不用品買取りが発生します。この買取りを行える許可が「古物商許可証」です。ゴミ屋敷の中に埋もれているものに、買取りをお願いしたいものがあるとわかっているのであれば、この資格を持っている業者を選びましょう。

・ハウスクリーニングをしてくれるのか
ゴミ屋敷と化した家は多くの場合、床に腐敗が進んでいたり、害虫がいたり、水回りが使えなくなっていたり、という問題も出てきます。特殊清掃が必要な場合もありますので、その資格を持っているスタッフがいるか確認しておくのも大切ですね。
また、見積もりの中にその費用が入っているのかを確認しましょう。入っていない場合は、その額を提示してもらってください。

ゴミ屋敷化した家の遺品整理 そのまとめ

いかがでしたでしょうか。ふだん接することがない業者への依頼は不安もありますよね。しかし、きちんとした業者は、故人の想いを大切にしながら、たとえそれがゴミ屋敷であってもしっかりと対応してくれます。
遺品整理は故人の供養です。ただゴミを処理するのではなく、遺品として扱ってくれる業者を探しましょう。
前述にもありますが、ゴミ屋敷は近隣住民の方に、犯罪の誘発や、害虫被害などの面で不安をもたらすものとなります。費用がかかってしまう、という面もありますが、しっかりときれいにすることで、ご遺族の心の重荷が軽くなるのではないでしょうか。ご自身のために、近隣にお住まいの方のために、また故人のために、ゴミ屋敷の状態を長く続けることはないようにしたいですね。

 

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