ゴミ屋敷になってしまった場合の対策7選

ゴミ屋敷になってしまった場合の対策7選 (1)

ゴミがあふれかえった状態のゴミ屋敷は、今大きな社会問題になっています。単に不衛生なだけでなく、さまざまな悪影響を及ぼすため、早急な解消が必要です。そこで今回は、身近な人の家がゴミ屋敷になってしまった場合の対策について詳しく解説します。

ゴミ屋敷に至るまでの背景

メディアで取り上げられるゴミ屋敷を見て「なぜこんなになるまでゴミをため込んだのだろう」と思ったことはありませんか。
ゴミ屋敷の原因の一つに、高齢化社会があげられます。一人暮らしの高齢者が増え、さらに地域社会との交流が薄く孤立している方も少なくありません。たとえ親戚や知り合いとのつながりがあったとしても、汚れた家を見られるのを恐れ、SOSを出せないでいる場合も考えられます。

ゴミ屋敷が及ぼす影響としては、「悪臭」「害虫・害獣の発生」「感染症の発生」「火災の心配」など、いずれも近隣住民に多大な迷惑をお掛けする、深刻な問題ばかりです。身内としては、一刻も早くゴミ屋敷を片付けたいですよね。では、具体的な対策を順に見て行きましょう。

対策1.住人の精神的ケア

ゴミ屋敷の住人の中には「不要なものは一つもない」「片付け方が分からない」「片付ける気力がない」「ゴミに埋もれている空間が落ち着く」と、ゴミに執着したり、無気力であったりすることで、片づけを激しく拒む方がいらっしゃいます。

しかし、こうした心理状況は、精神的な疾患や、発達障害などの病気が関係しているかもしれません。また、加齢による身体や生活意欲の衰えに伴い身の回りのことができなくなるセルフネグレクト(自己放任)や、認知症によるケースも増えています。
この場合は、一度付き添って病院に行ったり、往診可能な医師がいる場合は家まで来てもらったりしましょう。また、市役所の福祉課や保健所でも相談に乗ってくれますので、電話をかけてみるのもよいでしょう。ゴミ屋敷対策には、医療や福祉のサポートも必要なのです。

対策2.本人の意思や人権を尊重する

ゴミ屋敷の片付けを始めるためには、まず本人をやる気にさせなければいけません。そこで、気をつけてもらいたいポイントがあります。それは、ゴミ屋敷の住人に対し、頭ごなしに避難しないこと。ゴミ屋敷の住人は多くの場合、ゴミ屋敷の状態が良くないことは自覚しています。わかっているけれども、片付けられないのです。
そんな本人の心の葛藤を読みとらず非難するのは、住人とあなたの関係を悪化させるだけで、なんの解決にもなりません。対応するときはゴミ屋敷の住人の意思や人権を尊重して接する姿勢が基本です。

そもそもゴミというのは私有財産にあたるため、法的に所有権が認められています。つまり、はたから見れば、どう見てもゴミであっても、本人がゴミではないと主張する限りは、本人の私有財産なので、行政や第三者が強制的に介入することは難しいのです。

第三者であるあなたがするべきことは、「安全で健康的な生活を送るためにゴミ屋敷を解消しましょう」と前向きな言葉を投げかけ、ゆっくり理解をしてもらうことです。共に同じ方向を向き、ゴミ屋敷の片付けに向けて行動しましょう。

対策3.まずは生ゴミから処分

さあ、ゴミ屋敷の片づけを始めることになりました。しかし、あふれかえったゴミの山、どこから手を付けていいのか悩みますね。そんな中、真っ先に片付けたいもの。それは、害虫・害獣の発生につながってしまう生ゴミです。
生ゴミはほとんどの自治体で「燃えるゴミ」として処分できるので、分別に手間がかかることもありません。まずは、生ゴミを処分することから始めましょう。

対策4.足元のごみの処分

ゴミ屋敷の住人の足元には、空のペットボトル、お弁当の容器、丸めたティッシュなどゴミが大量に散乱していると考えられます。生ゴミの次は、足元のゴミの処分を始めましょう。
床に座ることができ、財布やスマホなどの貴重品を置くことができる居住スペースを確保するという目標を掲げてみてはいかがでしょうか。徐々に片付けるスペースを広げていくことが、ゴミ屋敷を解消するための近道なのです。

ゴミ屋敷の片付けをするうえでのコツは、玄関に近い部屋からゴミを拾い集めること。なぜなら、この部屋がある程度片付いたらそのスペースを一時的なゴミ置き場にでき、そのあとの片付けもスムーズになるからです。

なお、台所やリビングは物が溜まりやすいので、せっかく片付けたとしても元の状態に戻りやすい場所です。作業の二度手間にならないためにも一旦、後回しにして構いません。

対策5.必要なものと不要なものを仕分けする

足元のゴミを片付けていくと、少しスペースができ、歩けるようになってくるでしょう。そうすると次の作業は「必要なもの」と「不要なもの」の仕分けです。
仕分けが苦手だからこそ、今まで部屋に物を溜め込んでしまっているので、この仕分け作業は、困難な作業であると思います。しかし、ゴミ屋敷を片付けると決めた今、「迷ったら捨てる」という断捨離の気持ちで作業を進めましょう。

仕分けをスムーズにすすめるコツは品目ごとに分けること。例えば、衣類、雑貨類、生活用品…といった感じです。分別は、後ほど改めて行うので、ざっくりと機械的に分けて行きましょう。ある程度品目別に片付いた後、それを「必要」「不要」に分けると、仕分けがしやすくなります。

対策6.大切な思い出の品は手元に残す

ここまでは、積極的にものを捨てていくことを推奨してきましたが、仕分けの作業を行うなかで、どうしても捨てたくない思い出の品も出てくることでしょう。本当に大切に思うものは無理に捨てる必要はありません。むしろ、大切にとっておきたかった思い出のものまで捨ててしまうと、精神面で影響が出て、再びゴミ屋敷の状態に戻ってしまう恐れも考えられます。

大切に残しておきたい品の保管方法としては、引き出しにしまい込んでしまうのではなく、綺麗に片付いた部屋の手の届きやすい所に保管しておくことをお勧めします。

対策7.プロに依頼する

ゴミが何層にもたまり、天井近くまで積みあがっている状態や、水回りすら使うことができない状態…。ここまで悪化してしまった家を片付けるとなると、通常では考えられない量の廃棄物を処理しなければならなりません。ゴミを分別するだけでも相当の時間と労力が必要です。
もはや素人にはお手上げ状態です。そんな時はプロに片付けの依頼をしましょう。費用はかかりますが、専門知識と経験を活かし、短期間で片付け、家の掃除まで徹底的に行ってくれます。
また、業者は作業量に応じた人手の確保をしていることに加え、大型廃棄物を運ぶ機材も所有していますので、個人では運び出すことさえ困難な大型の廃棄物も、スムーズに処理してもらえます。

身内や知り合いに手伝いを依頼して肩身の狭い思いをするくらいなら、割り切ってプロにお任せする方が、プライバシーは保たれ、精神的にも楽に感じるかもしれませんね。

番外編.ゴミ屋敷に対して近隣住人ができる対策

身内のゴミ屋敷の対策について解説してきました。では、近所の住民がゴミ屋敷に住んでいたら、近隣住民として何か対策はあるのでしょうか。

一番いい解決方法は、ゴミ屋敷の住民と近隣住民の話し合いで解決することです。1対1の話し合いが難しい場合、自治会や町内会ぐるみで解決を目指しましょう。
それでも、話がうまく進まない場合は、行政や警察へ出向いて相談し、行政を巻き込んだ対策を行うことになります。
残念ながら現在の法律だけでは、ゴミ屋敷を取り締まることができません。しかし、全国でゴミ屋敷が深刻な社会問題になっていることもあり、自治体によっては独自で条例を制定しゴミ屋敷対策を行っています。

全国で初めてゴミ屋敷に関する条例を施行したのが東京都の足立区です。足立区が定めるゴミ屋敷の定義は「適正な管理がされていない廃棄物、繁茂した雑草又は樹木により、土地又は建築物の周辺住民の健康を害し、生活環境に著しい障害を及ぼし、又はそのおそれがある状態」です。
行政の調査によりゴミ屋敷と認定された場合、行政がゴミ屋敷住人に対し、指導・勧告を行います。段階を経て、命令を下しますが、それにも従わない場合は最終手段として強制的にゴミの撤去をし、かかった費用を後に請求します。

こうしたゴミ屋敷対策のための条例が制定されているのは、まだ一部の自治体にとどまっていますが、今後、制定する自治体は全国で増えていくと思われます。お住まいの自治体がゴミ屋敷対策の条例を制定しているか、ホームページなどで調べてみると良いでしょう。

まとめ

ゴミ屋敷対策について詳しく解説しました。ゴミ屋敷が生まれる背景には、複雑な問題が絡み合っており、解決には時間がかかることも多いでしょう。また、片付けることがゴールではなく、再発防止のため環境を整えることが大切と言えます。

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