遺品整理といえば、貴金属、家具、家電、書類など、家の中のものに意識が行きがちだと思います。しかし意外と多くの故人が所有している大きな資産が「車」。車も相続できるのです。名義変更、廃車、売却など遺品となった車の行く先をご紹介していきましょう。
車の相続方法
軽自動車の場合は相続手続きが必要ないため、相続手続きが必要なのは普通車の場合です。
遺品となった自動車の名義は、相続人全員の共有となります。しかし一般的にはどなたか一人が代表で相続することが多いです。その際は、誰が相続するかという遺産分割協議書の作成が必要です。自動車の相続が発生する遺産分割協議書は運輸局指定の記載が必ず必要ですので、司法書士、弁護士、行政書士などのプロに任せた方が安心です。
相続した車に乗る場合:名義変更
相続した車に乗る場合には、名義変更の必要があります。
名義変更に必要な書類は以下です。
①車検証
②車庫証明書(使用場所が変わる場合のみ)
③前所有者(故人)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
(本人の死亡確認のため)
④相続人全員の記載がある戸籍(除籍)謄本
⑤新所有者(名義を取得する相続人)の印鑑証明書
※共同相続の場合は代表相続人の印鑑証明
⑥遺産分割協議書(または遺言書)
⑦印鑑(実印)
⑧委任状(代理申請の場合、必ず実印を押した委任状が必要)
⑨自動車検査証記入申請書(移転登録申請書) ※運輸局で購入
⑩手数料納付書 ※運輸局で購入
以上を用意し、管轄する運輸局で手続きをします。書類を揃えるのが少し大変ですが、手続き自体は難しいものではありません。
軽自動車の場合、管轄の役所は軽自動車協会にかわります。
書類は、車検証原本、住民票(または新所有者の印鑑証明書)、自動車検査証記入申請書(軽自動車検査協会にての窓口にて購入)、軽自動車税申告書のみで、普通車よりも種類が少なく、簡単です。
ちなみに相続による自動車の取得の場合、自動車取得税は非課税です。
相続した車に乗らない場合①廃車:永久抹消登録
相続した車にもう乗らず、ディーラーまたは解体業者で廃車にした場合は、永久抹消登録をする必要があります。
その場合、解体完了後、15日以内に運輸局にて手続きする必要があります。
ただし、永久抹消登録の場合に遺産分割協議は必要ありません。相続人の代表が申請相続人として申請してもOKです。
永久抹消登録に必要な書類は以下です。
①車検証
②故人と申請相続人1人分の戸籍(除籍)謄本
③申請相続人の印鑑証明書
④申請相続人印鑑(実印)
⑤委任状(代理申請の場合、必ず実印を押した委任状が必要)
⑥永久抹消登録申請書
⑦手数料納付書
⑧ナンバープレート(前後2枚)
⑨解体報告がされた日付が分かるもの
⑩自動車税・自動車取得税申告書
乗らないのに相続手続きなんて面倒と思うかもしれませんが、所有者のいない車として処分すると廃車手続き費用が高くなります。そのため面倒でも一度相続して、相続人が廃車手続きをした方が良いのです。
相続した車に乗らない場合②買取
相続した後、買取業者に査定、買取してもらうこともできます。買取ができない場合、タダ同然の買取価格となる場合もありますが、思いの外高値がつく可能性も0ではありません。複数の買取業者に査定をしてもらうと良いでしょう。
遺品整理と同時に、買取まで行ってくれる業者もあります。
他にも近頃は全国規模のネットオークションで落札先を探してくれる業者や、解体して部品を売る前提でも買取をしてくれる業者もあるようです。
廃車だけでも2〜5万円ほどかかることが多いので、場合によっては無料引き取りでもありがたいかもしれません。
相続した車に乗らない場合③譲渡
適正な価格で友人知人に譲渡する分には問題ありませんが、無償または非常に安く譲渡した場合、受け取った側に贈与税がかかる可能性がありますので、注意しましょう。
ローンの残っている車は相続できない
ローンが残っている間は、まだその所有権はローン会社にあり、個人は使用者です。そのため相続ではなく、使用者変更の手続きが必要です。
使用者変更の手続きに必要な書類は以下です。
①車検証
②新使用者の住民票
③新使用者の車庫証明書
相続よりは簡単ですね。
最後に
いかがでしたか?
相続の状況や、地域により、ご紹介した内容と違いがある場合もあります。まずは管轄の運輸局に確認をしてから手続きに行った方が、無駄がないでしょう。
また、車の相続、そして名義変更や廃車などの手続きには様々な資料が必要ですので、少々面倒に思う人もいるかもしれませんね。
実は、相続における自動車の名義変更は、義務ではありません。そのため故人の名義のまま自動車を使っていても、処罰されることは基本的にないのです。
しかし故人の名義のままでは、廃車や売却ができないため、いずれ必要となる手続きであると言えるでしょう。
名義変更や廃車手続き、買取など、すべて代行してくれる遺品整理業者もありますので、必要書類の探索も含めて、依頼してしまうのも良いかもしれません。