遺品整理でよく起こるトラブル4選!〜家族・親族編〜


大切な人が亡くなると、悲しみで何も手につかなくなるでしょう。しかし、そんな時でも避けては通れないのが遺品整理です。そして残念なことに起こり得るのが家族親族間のトラブル。どんなケースがあるのかを知ることで、未然に防止できるかもしれません。

残された子供達が全員75歳を超える高齢者のケース

日本は言わずと知れた長寿国。近年はさらなる医学の進歩も相まって、寿命は縮むどころか、これから延びる可能性もあるでしょう。それ自体は決して悪いことではなく、むしろ良いことではあるのですが、遺品整理と向き合う年齢が高齢化してしまうことでもあるのです。やらなければいけないことだとどこかでわかっていても、親が元気なうちは、もしくは生きているうちはなかなか考えが及ばないものです。またもし考えたとしても、そこから行動を起こすにはまたもう一歩が必要になりますよね。
そんな風に先延ばしにした結果に起こるのが、子供たちを代表とする遺族が高齢化し、遺品整理をする体力、気力、判断力、時には経済力がないという問題なのです。

 

Aさんのお宅では、母親が他界した時、3人いる子供たちの年齢が皆75歳を越えてしまっていました。父親は母親の亡くなる10年前に亡くなっていましたが、夫である父親の遺品整理することを望まなかったため、ほとんど手つかずのままでした。またそんな母親ですから、当然自分自身の身辺整理などを全くしないままに亡くなってしまったのです。さらに亡くなったAさんのご両親は一軒家に住んでいたため、かなりの量の遺品を整理する必要がありました。幸い子供たちは3人とも同じ県内に住んでおり、公共交通機関を使って1時間以内に行き来することが可能であったため、自分たちで少しずつ遺品整理を始めたのです。

 

いざ始めてみると想像以上に体力を消耗し、取捨選択の難しさにも悩まされました。遺品整理といっても、例えば冷蔵庫や洗濯機、テレビ、掃除機といった生活家電もそうですし、ソファやベッド、本棚などの大型家具も含まれているのですから、当然です。75歳を越えた高齢の子供たちに、自分たちで大型家具や家電を運ぶ術はありませんでした。それに加えて食器棚の中にはもちろん、食器やカラトリーが入っていますし、本棚には本、洋服ダンスにはたくさんの洋服があり、外箱だけを整理すれば済む話でもありませんでした。他にも手紙や日記、写真、貴金属類など、実に様々で多量な遺品を整理する必要があることに気付かされたのです。

 

自分たちではどうしようもないとわかりましたが、故人の孫にあたるAさんたちの子供たちには迷惑をかけたくないというのが、Aさんたち兄弟の共通の考えでした。そのため知り合いなどに相談したところ教えてもらったのが、遺品整理専門業者の存在でした。しかしインターネットなどを使いこなすことができなかったため、偶然見つけた1社にだけにしか相談ができませんでした。その1社が残念ながら良心的な業者とはいえず、到底払えないような金額の見積もりを提示されてしまいました。自分たちではどうしようもないことはもう十分わかっていたため、なんとか費用を工面しようと奔走しましたがそれも叶わず途方に暮れているうちに、母親が亡くなってから随分と時間が経ってしまったのです。

 

その後どうなったのか。幸い家族・親族間の関係性は良好だったため、Aさんたちが困っていることに子供たち(母親の孫たち)が気づいてくれたのです。迷惑をかけたくないという思いがあったため辛いところではありましたが、結局子供たちの力を借りることになりました。

インターネットで検索をかけ、口コミの良かった遺品整理業者数社で見積もりを取った上で、対応が良く現実的な金額の提示をしてくれた業者に大型遺品の整理をメインに依頼しました。全て自分たちですることは無理でしたのが、Aさんたちには時間がありましたので、手紙や日記、写真、貴金属類などの遺品整理は自分たちで時間をかけて行なったのでした。

 

大切なものを誤って処分してしまったことによる、親族との不和

大量の遺品整理をしていると、なかなか1つ1つを丁寧に判別していくことが難しくなります。また、取捨選択の基準をどこに置くのか、というのも難しい問題です。遺品の中には、メインで遺品整理をしている人にとっては価値がないと感じるものであっても、他の家族・親戚にとっては何にも変えがたい価値のあるものである、ということがあり得ます。例えば壊れて動かなくなった古い時計。特に有名なブランドやメーカーのものではなく、修理する価値があるとはとても思えなかったとしても・・・故人が亡くなったら形見としてもらうと約束をされていた何にも変えがたい品かもしれないのです。このように、遺品に対するそれぞれの「思い入れ」の違いが、思いがけないトラブルに繋がることがあります。

 

Bさんは一人娘であったため、両親が亡くなった後は一人で遺品整理の作業をしていました。専業主婦で仕事はありませんでしたが、中学生と高校生の娘が二人いたため、いくらでも遺品整理に時間がかけられるという状況でもありませんでした。しかも遺品整理にかける費用もなかったため、あまり細かいことは気にせずできるだけ手早く遺品整理をすることを意識して作業を進めていました。Bさんはマンションに住んでいて収納スペースにも限りがあったため、迷ったら捨てると決めていたそうです。

 

やっとの思いで一通りの遺品整理が終わった頃、いとこから1本の電話が。彼女にとって叔母にあたるAさんの母から、将来母が亡くなったときに毛皮のマフラーをもらう約束をしていたというのです。Aさんには毛皮のマフラーについての記憶がありました。Bさんにとっては、デザインが古くかなり派手だと感じる品であり、将来的に自分が使う可能性はないと考えたため、他とまとめて買取業者に買い取ってもらっていたのです。兄弟姉妹がいたのであれば、Bさんも確認をしていたでしょうが、まさか自分の母が姪とそのような約束をしているとは夢にも思わなかったのです。
買取を依頼したのは遺品整理を初めて間もない頃であったため、連絡がきた時にはもう3ヶ月ほど経過してしまっていました。慌てて買取業者に問い合わせをしましたが、その品がどうなったかはわかりませんでした。せめて買取金額をいとこに支払おうと思いましたが、自分では明細をきちんと保管しておらず、業者側でも調べることができませんでした。

Bさんとそのいとこは、ものすごく仲がいいというわけではありませんでしたが、良好な関係でこれまで過ごしていました。そのためBさんは誠心誠意謝って、幾らかを支払えば円満に収まると軽く考えていたのですが、Bさんが勝手に処分してしまったことがどうしても納得いかなかったようなのです。その上、買取金額の明細がないことも、高額買取であったためその額を渡すのをBさんが嫌がってわざと隠している、と、いとこが考えているのが話の節々から伝わってきたのです。仕方なく、買取の合計金額は覚えていたので、その全額をいとこに支払うことにしました。他に古い指輪や時計などの貴金属を一緒に買取してもらった際の合計金額は5万円程度でしたので、思い入れがある毛皮のマフラーにもっと価値があると感じていたいとこは、全額を渡してもなお、Bさんが大事な思い出の毛皮のマフラーを処分した上に買取金額をごまかしていると考えているようだったとのこと。もちろんいとことの関係はギクシャクし、3年経っても修復できていないそうです。

遺品整理のなすりつけ合いによる、兄弟姉妹との不和

 

遺品整理の進め方について、兄弟姉妹間で争いになることも起こりえることです。1つは、作業自体のなすりつけ合いです。遺品整理は誰かがやらなければいけないことであるのですが、誰しも自分の生活があります。自分の生活を継続することに精一杯の中で、遺品整理という作業を行う時間と気持ちの余裕がない、という人も多いことでしょう。なんとか理由をつけて、兄弟姉妹の誰からに遺品整理を任せてしまいたいという思いが先行して、言い争い、なすりつけ合いになってしまうのです。特に家族がいる場合は、パートナーの理解も必要になってきます。兄弟姉妹間で折り合いがつかず、遺産相続でもないのに関係性が悪くなってしまう可能性があるのが、この遺品整理なのです。

3人兄妹のCさんは、兄と弟の真ん中として育ちました。皆それぞれに結婚して独立し子供も生まれ、家庭を築いていました。正月やお盆に顔を合わす程度ではありましたが、パートナーや子供たちも含め、みんな仲良くやってきていたのです。亡くなった両親の家から、兄は新幹線で1時間半ほどかかる場所に住んでおり、Cさんは電車や車で1時間弱、弟は自転車で10分の距離に住んでいました。まず兄は遠方に住んでいることを理由に、近くの2人でなんとかしてくれというだけで、自分はやらなくて当然という態度。仕方なく弟と2人でなんとかしようと考えたCさんでしたが、その弟は共働きであることを理由に、作業をする時間は取れないと言ってきたのです。Cさんもフルタイムではないとはいえ週に2〜3日は仕事をしていましたし、何より距離でいうと圧倒的に弟が近いのですから、簡単に受け入れることはできませんでした。平日はCさんが時間を見つけて進めるから、週末は一緒にやろうと言っても、週末くらい休まないとやっていられないとの一点張り。いかにも、「お前はパートで暇なんだから一人でやってくれ。」と言わんばかりでした。

仕方なく一人で少しずつ進めていたCさんでしたが、大型家具などの整理にあたってはやはり男手が欲しいと頼み、何度か週末に弟家族に手伝いに来てもらったのです。しかし明らかに不満そうな義理の妹とその子どもたち。Cさんがやるのが当たり前ではないのに、なぜかいたたまれない気持ちになって、手伝いに来てもらうことを諦めました。義理の妹としては、フルタイムで働いているのに週末に駆り出され、遠方に住んでいるというだけで全く手伝いに来ない専業主婦の義理姉との差に、特に大きな不満を持っていたようです。この時点で、弟家族との関係性はかなり悪化してしまいました。

ですがもちろん、一人で全てを片付けることはできません。そこで自分でもコツコツと作業を進めながら、遺品整理専門業者に一部依頼することを検討しました。正直日々の作業だけでも十分にCさん自体は頑張っていると思っていましたし、時間に加えそれなりの交通費もかかっていました。そのため実際の作業は自分が頑張るから、外部委託業社への依頼分は兄と弟とで負担して欲しいと頼んだのです。しかし兄と弟の返事はNO。簡単にいうと、時間がかかってもCさんが全てやったらいいではないか、ということのようです。確かに両親の家は持ち家だったため、遺品整理に期限があるわけではありませんでしたが、一人で続けてもいつになったら終わるかわからない状況でした。我慢の限界を迎えたCさんは、重要書類や貴金属などの貴重品を取り出し、形見を整理できた時点で、家ごと取り壊すことにしたのです。更地にしてから売りに出し、取り壊し費用を差し引いた額をそれぞれが相続するということで落ち着いたということですが、それ以来集まる場所も気持ちもなく、疎遠になってしまったということです。

 

全員が遠方に住んでいて遺品整理が進まない。そのまま実家が廃墟状態に。

 

遺品整理をしたいという気持ちは大いにあるけれど、近しい家族親族が全員遠方に住んでいるというケース。特に海外に住んでいるという場合には、定期的に遺品整理のために帰国するということがさらに難しくなります。また、故人への思いが強ければ強いほど自分たちの手でなんとかしたいという思いを持つことも多く、外部の遺品整理業者への依頼を決断するにも、時間がかかるといったことも考えられるのです。

Dさんは一人っ子で、もう長い間海外生活でした。今では国際結婚し、日本語を話すことができない妻と、日本で暮らしたことがない子どもたちがいました。仕事も忙しかったため、最後のお別れの後はすぐに自宅に帰らなければならず、必要書類の手続きを済ましただけで他の遺品整理に手をつけることもできませんでした。長く離れて暮らしていたため、せめて遺品整理くらいは自分の手でしてあげたいという気持ちを持っていたDさん。Dさんの実家は持ち家でしたので、急いで遺品整理しなければいけないということもありませんでしたし、次の長期休暇で、家族と一緒に日本へ来て遺品整理をしようと考えていたようです。

しかし日本語が話せない妻が日本での長期滞在を不安視したこと、そのままにしていても特に困ったことが発生していないこともあり、なんだかんだと長期休暇中の帰国が先延ばしになってしまいました。両親が亡くなり、兄弟もおらず、親戚付き合いもあまりなかったDさんにとって、遺品の整理以外に帰国する理由がなかったことも大きく影響しました。
時の流れは早く、それからあっという間に20年が経過。子供達が皆独立した時、やっと実家の遺品整理に向き合うことになったのです。20年もの間、人の出入りがなく、空気の入れ替えも行われなかった家は廃墟状態に。素人が手をつけられるような状態ではなくなってしまっていたのです。

両親が亡くなった当時と違い、なんでもインターネットで詳しい情報を集められる現在。また遺品整理専門の業者が作業代行をしてくれる時代にもなっていました。評判の良さそうな業者に依頼をし、貴重品だけをなんとか探し出してもらった後、こちらも家ごと解体せざるを得ない結果となりました。遺品整理専門の買取業者の人曰く、すぐに遺品整理を行えば高価買取が見込めたであろう高級家電や高級家具もあったようです。当時は遺品整理専門の業者もなく、便利屋のようなところにお願いするしか方法がなかったのですが、それでも長年放置してしまうよりは良かったのではないか、と感じているそうです。

最後に

いかがでしたか?そのままにしておくと、いつか周りに迷惑をかけてしまう可能性もある遺品。なんらかの形で整理しなければなりません。また、遺品整理とは故人と向き合う最後の大切な作業でもあります。故人を思い、故人が安心して眠りにつくことができるようにすることも大きな目的であるのです。それなのに残された家族や親類が争いごとをしていては、故人も浮かばれませんよね。
そうならないためには、元気なうちに遺品をどうしたいかという意思を聞いておくこと、また遺品の整理にあたってどこまで相談をすべきなのかを把握しておくこと、さらには信頼の置ける業者を選定しておくことなど、できることがあるのです。
トラブルが起こってから向き合うのではなく、事前にトラブルにならないよう準備しておくようにしたいものです。

 

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