自分がいなくなった時、あなたが大切にしていた物はどうなるでしょうか?そんなこと想像したことがないという方が大半だと思いますが、誰にでも最期は必ず訪れます。ここでは、遺品整理や生前整理といった「最期の整理整頓」について考えたいと思います。
遺品整理と生前整理の違い
「遺品整理」は、自分の死後に遺族あるいは第三者によって遺品となった所有物を整理してもらうことを指します。一方、「生前整理」は自分が生きている間に自らの手で持ち物を整理していくことです。言葉は似ていますが、この2つは全く異なる行為であると言えます。しかし、切っても切り離せないのが遺品整理と生前整理なのです。
遺品整理と生前整理はどちらが大事?
その違いを把握して、改めて自分がこの世からいなくなった時のことを考えてみて下さい。今、身の回りにあるものはどうしたいですか?すぐにどうすればいいか決められますか?自分のものであるのに、一つ一つの処遇をじっくり考えてしまいませんか?
遺品整理をする場合、遺族は本人でさえ決められない物の行方を考えなければいけなくなります。それによって、遺品整理はときに遺族にとって大きな負担になることがあります。それは、「分からない」ことが遺族を悩ませるからです。捨てるべきなのか、残さないといけないのか、故人はどう思っていたのか、当の本人でないと分からないのです。その迷いが精神的な重荷になることも少なくありません。
では、遺族が分からなくなる状況を作らないためにどうすればよいでしょう。それぞれ物の行方を明確にしておく、あるいは出来るだけ物が無いようにしておけばいいのです。つまり、用意周到な生前整理が迷惑をかけない遺品整理へと繋がっていくのです。
生前整理のすすめ
前述のように、生前整理は遺族のことを考えるととても大切な作業です。生前整理の理想は段ボール1箱分と言われます。その中には、遺言やエンディングノート、一緒に埋葬してほしい物、貴金属、証券、印鑑、通帳など遺族に残しておきたいものを入れます。
大量のものに囲まれて暮らしている方には、段ボール1箱なんて到底無理なことに感じるかもしれません。特に、高齢の方は昔から物を大切にする暮らしをされてきたため、捨てることに消極的な方が多いように思います。しかし、あなたが旅立ったあと、あなたが思い出の品々として残した物が、遺族にとっても同じように大切であり、あなたの死後も使う価値のあるものとは限らないのです。
物をたくさん持ってらっしゃる方にこそ、生前整理をおすすめします。物を大切に仕舞って使ってこられたからこそ、誰かが処分するよりも自分の物は自分で整理整頓した方が、納得できるのではないでしょうか。
整理整頓するのは体力的に無理だと思われる方は、エンディングノートにしたためておくのも有効です。遺品整理の際、故人の指示があるとないとでは、その進み具合が大きく違ってきます。故人の一言があれば遺族は後ろめたい気持ちになることなく、遺品を整理することができるでしょう。ただし、エンディングノートに記載する際も極力処分するように努めましょう。故人の詳細な指示があるゆえ、遺品が捨てづらくなっては元も子もありません。
身体はどんどんと年老いていきます、生前整理は頭と体が元気なうちに少しずつでも進めていくことが重要です。そして、ぜひとも前向きな気持ちで進めて頂きたいと思います。たくさんの物と向き合うことは、あなたの半生を振り返る良い機会になるでしょう。幸せな最期というと大袈裟かもしれませんが、生前に持ち物を整理整頓していることが軽やかな最期となり、もしものときの遺族への最大の配慮になるのです。